熱中症

よく外来で「うちの子が熱があるのだけど熱中症では。。」など、かぜなのか熱中症なのか迷うことがあります。熱中症とは何なのか?日射病や熱射病との違いは?

 暑熱環境下においての身体適応の障害によっておこる状態の総称を熱中症と呼びます。(以前は軽症として日射病・最重症例として熱射病と呼んできました。また熱疲労・熱虚脱・熱けいれん・熱湿疹など様々な言葉・分類があり混乱していました)最重症例の熱射病の概念は、1. 40度以上の発熱 2.意識障害 3.発汗の停止・乾燥した皮膚 でした。しかしそのような状態は手遅れになる可能性もあります。そのため熱中症の新分類ができました。

I度 めまい・失神 「たちくらみ」とういう状態で、以前、熱失神と呼ばれていました。筋肉痛・筋肉の硬直(筋肉の「こむら返り」 熱けいれんと呼ばれていました)体温は正常のことが多いです。

Ⅱ度 頭痛・吐き気・嘔吐・下痢・倦怠感・虚脱感・失神・気分の不快・判断力や集中力の低下、いくつかの症状が重なり合って起こります。発熱することがあります。(体がぐったりする、力が入らないなどがあり、従来から“熱疲労”と言われていた状態。)Ⅲ度 意識障害・けいれん・手足の運動障害・おかしな言動や行動・過呼吸・ショック症状などが、Ⅱ度の症状に重なり合って起こります。38度以上です。

Ⅲ度熱中症の診断基準は1. 暑熱への曝露がある 2. 深部体温39℃以上または腋窩体温38℃以上 3. 脳機能・肝腎機能・血液凝固のいずれかひとつでも異常徴候がある の3つを満たすものであり当てはまらなければⅡ度とします。Ⅲ度をきちんと診断することでDICや他臓器不全などしっかり管理することができます。

まあ、外来では不快な症状が強ければ点滴をすることが多いのですが。。。Ⅱ度以上を疑うのであれば採血検査もしっかりとすることが重要なのです。元気があれば熱だけで熱中症の診断は出来ないと思います。水分摂取や休憩など熱中症の予防をしっかりやることが大事になります。

2014年の記事より再掲します。暑い日が続きますが無理をされないようにして安静水分補給を、小さい子がいる家庭もおとなが不快な暑さならクーラーも積極的につけてください、