アレルギー

舌下減感作療法

スギ花粉症を対象とした減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬「シダトレン®スギ花粉舌下液を鳥居薬品が製造販売承認を取得しました。減感作療法とは、アレルギー疾患の原因となるアレルゲンを、低濃度、少量から投与し、徐々に増量、高濃度へ移行させ、アレルゲンに対する過敏性を減少させる治療法です。 当院では成人に対し皮下注射によるスギ・ハウスダストの減感作療法を行っています。それがより簡便に舌下にて行うことができるということです。舌下療法は欧米など行われており当院でも注目をしていました。

成人及び12歳以上の小児に適応があります。1日1回、舌下に滴下し、2分間保持した後、飲み込みます。その後5分間は、うがい・飲食を控えます。すこしづつ濃度や量を多くしていきます。従来の免疫療法より手技的には簡便でありますがアナフィラキシーなど症状は注意しなくてはいけません。

いつからやることができるのか?値段は?など具体的なことが分かればまたブログに書いていきたいです。

http://www.torii.co.jp/release/2014/140117_1.html

http://www.torii-alg.jp/

ほしこどもおとなクリニック食物アレルギー勉強会

10/9にほしこどもおとなクリニックアレルギー勉強会を開きました。数名の方が来ていただき食物アレルギーについて話しました。1.食物アレルギーの一般的な話 2.アナフィラキシーについて 3.エピペンについて 使い方など 保育士さんの講習と異なり学校・幼稚園・保育園の扱いについてということより個々のアレルギーについて重点を置いてお話ししたかったのですが時間が足りませんでした。しかし少人数の勉強会は質問が多く皆さまとても熱心でいらっしゃいました。2回目3回目と続けていきたいです。貴重な時間を割いて(しかも台風の後!)来ていただいた方々に少しでもお役にたてるよう話しましたがどうだったでしょうか?IMGP1391蘇生の勉強会も含め出張の勉強会も行いたいです。時間がなかなか難しいですが希望される方はお問い合わせください。

クリニックのアレルギー勉強会を開催します

先日書きましたが、保育士の研修会で食物アレルギーのことを話すことになりました。この勉強会は東松山市の保育士さん向けの会なので一般の方は参加できません。その内容をもとにクリニックでも10月16日と23日 12時30分から患者さん向けにお話しいたします。出席希望の方はご連絡ください。知識をきちんと家に持って帰れるようにやさしくゆっくりとお話ししたいと思っております。 勉強会アレルギー

保育士研修会

今度保育士研修会で食物アレルギーについてお話しする予定です。食物アレルギーの疫学的な話(どんなもので多いのか、どのくらいの人がアレルギーになっているのか)と食物アレルギーの診断、検査について、またアナフィラキシー、エピペンについてお話しする予定です。「アレルギー=食べてはいけない」という考えは間違っていること(当然ケースバイケースですが)、発疹=アレルギー検査はどうなのかということ(ガイドラインがあります)、定期採血(半年ごとなど)は必要なのか?(これもケースバイケースと思いますが、、)、エピペンの使い方(躊躇せず使うために)など医療側から見た話せればいいなあと思います。

9月10月にほしこどもおとなクリニック勉強会として少し内容を変えて一般患者さん向けにやりたいと思ってます。

エピペンの適応

この度、日本小児アレルギー学会のアナフィラキシーワーキンググループにおいて「一般向けエピペン®の適応」を決定致しました。
一つの症状だけでエピペンの適応を示すことはとても難しい作業でしたが、各国の状況を調査した上で、一般の方にも分かりやすい症状の記載・適応判断としました。

http://bit.ly/1c889Zm

消化器の症状(繰り返しの嘔吐・持続する我慢できない強い腹痛) 呼吸器の症状(のどがしめつけられる・声がかすれる・犬がほえるような咳・持続する強いせき込み・ぜいぜいする咳・息がしにくい) 全身の症状(顔や爪が白い・脈が振れにくい不規則・意識がもうろう・ぐったり・尿や便をもらす。。。。。これらの症状が出れば迷わずエピペンを!

小学校の学校保健委員会

学校医である野本小学校の学校保健委員会に参加しました。題目はアレルギーについてです。

食物アレルギーの診療の手引き2011 http://www.allergy.go.jp/allergy/guideline/05/05_2011.pdfを参考にしました。

アレルギーの疫学(乳児は10% 学童は1.3-2.6%)、食物アレルギーの原因で多いもの(鶏卵 牛乳 小麦)、最近魚卵アレルギーが増えていること、アレルギーの診断について、管理(正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去・負荷試験の必要性)などフォローで気を付けていることなど自分の経験もふまえ、手引きの文章を参考にお話ししました。

お母さんより先生に 1.間違って抗原食物を食べた場合どのくらいの量で何分後にどんな症状がでるのか 2.現在ならどのくらい食べれるのか 3.給食についてどの程度の除去食を必要と感じているのか 4.クラスの子供たちと仲良く付き合いたいと思っている 5.誤食事故がおきたときの対応 また学校の対応として 1.お弁当か除去対応食か 2.お弁当はどうやって届けるか 3.除去食 調理室の対応 間違えないための工夫 4.担任よりどうしてその子が給食を食べれないか丁寧に説明 クラス仲良く生活できるように配慮 5.もしも誤食事故がおきてしまったら 必要な医学知識の理解 主治医から説明 保護者と先生のコミュニケーション、アレルギーの思いがきちんと共有できるように主治医が懸け橋にあればと思います。

またエピペンの講習、アナフィラキシーのこと、実際にエピペンの模型を使って講習しました。心肺蘇生など緊急時の場合は焦ってしまっていろいろなことができなくなります。そのためエピペンの使い方も特に学校の先生たちに知ってもらいたいと思い行いました。和やかな雰囲気で行うことができました。ここでのポイントは1.アナフィラキシーを起こしたかもしれない児を走らせない、立たせない 2.エピペンの使うタイミングです 徐々に症状は進行しますので経時的に症状の観察を行い、のどが締め付けられる、2回以上の嘔吐、ぜいぜいする、じんましんが全身に広がる、顔色不良、ぐったりなどあればエピペンを使い、脚を挙上させる、救急車を呼ぶなど処置を行います。

エピペンをうつ、心臓マッサージなど蘇生を行うなど事前に知識があれば対応が違うと思っています。8月にほしこどもおとなクリニック心肺蘇生の講習会を(これは以前と同じ内容です)、9月か10月にはこのアレルギーの講習をほしこどもおとなクリニックで行います。(また掲示いたします)

花粉症の季節です

「スマイル子育てナビ」3月分は花粉症について話します。最近花粉症の低年齢化が言われています。前にも少し書きましたが2,3歳の子で「鼻水が止まらない。うちの子花粉症ではないですか?」と言われることが多く、大昔(開業前)は「いや~小さい子に花粉症はないよ。これは鼻風邪だよ」と話していました。イムノキャップ(簡易的な検査キット)も出現し調べてみると結構陽性になることがあります。(さすがに1歳前の方が陽性になったのは見たことはないですが)スギ花粉の量が最近増加傾向にあること、また空気の乾燥や外気温の変化、刺激物質(タバコなど)も要因と言われています。

花粉症の治療は主に対処療法です(おとなになれば免疫療法ができますが。。。) 1.花粉が飛ぶ時間帯(正午前後・夕方)の外出に気をつける 2.その日の花粉量のチェック(テレビなどみて)3.外出時にマスク、メガネ、帽子など使用 4.鼻うがい、洗眼を行う5.帰宅時に衣服についた花粉を払う5.布団干しなど気をつける など花粉との接触を避けることが必要です。またお薬を飲んでいても日常生活が妨げられる場合(寝れないなど)はお薬を追加・変更する必要があります。

また「One airway, one disease」という考え方があります。鼻と気管支は離れた組織であるにも関わらず喘息患者は高率でアレルギー性鼻炎を合併します。中には鼻症状の悪化に伴って喘息が増悪する患者もいます。一方、アレルギー性鼻炎の患者が喘息を合併していることも少なくない。喘息とアレルギー性鼻炎は非常に似た仕組みで起きるのです。鼻炎の治療が喘息を良くしてくれるというものです。これも外来でもよく経験します。

今年は例年の3倍(去年の5倍とも?)と言われます。症状のある方は早めに受診して下さいね。

卵白アレルギー(プロバビリティカーブ)

最近木曜日の休診日に食物負荷試験の見学に行くことがあります。

卵白、小麦、ミルクなど 卵白はパウダーをかぼちゃパウダーと混ぜてペーストにして負荷をしていました。かぼちゃと混ぜるとこれが結構おいしくなる(卵の味が隠れる)いろいろ工夫されています。(小麦はうどんミルクはスキムミルクを使うようです)以前このプログにも書いたのですが、目標を決めて一口から初めて15分ごとに増やします(1/64,1/32,1/16,1/8,1/4,1/2)

卵白アレルギーは乳児期に発症した場合は耐性を獲得することが多いとされてますが、耐性の獲得には個人差があることあることや、3歳までの食物除去解除率は卵白31%(大豆78% 小麦63% 牛乳60%)と低値であるというデータがあります。

特異的IgEが高くなる=食物負荷試験で陽性になるという構図が卵白・牛乳には当てはまります。(小麦・大豆では当てはまりません)負荷試験で95%が陽性になる特異的IgEの数値が卵白 1才未満 13.0 1才 23.0 2才以上 30.0 牛乳 1才未満 5.8 1才 38.6 2才以上 57.3  年齢が小さいほうが低い抗体価で症状がでます。

 

プロバビリティカーブを活用して、 食物経口負荷試験のリスクを評価する ことができます。

http://www.erca.go.jp/yobou/images/uploads/kanjazensoku/ap027.pdf

当院では乳児期に発症した卵白アレルギーは(イムノファスト(簡易検査))で診断を付け、その後は半年ごとの検査、もしくは1~2歳で少しづつ食べることを勧めていました。しかし重症(湿疹がひどい、アナフィラキシー症状があるetc)は耐性獲得までは採血をして特異的gEを出して十分に経過をみる必要があります。負荷試験も当院で可能ですが様々なリスクがあります。入院して((他院で)行ったほうがいい場合もありますので相談してください。

アトピー性皮膚炎の治療について

http://www.jaanet.org/pdf/atopi_tein.pdf

夏になるとアトピー性皮膚炎の増悪した児が見られます。基本的には汗を取り除く、シャワーや石けんをよく泡立 てて素手でしっかりともむように洗う、スキンケアが必要になります。

外来で気になるのが1.ステロイドの塗り方 2.その期間です。

アトピーの子の皮膚は細胞と細胞の間を埋めている脂である角質細胞間脂 質や 、 水 分 を と ら え て 放 さ な い 天然保湿因子が減少してい ます。これを補うため保湿剤を使いますが暑いときはあせもなど引き起こすこともあります。通常保湿剤とステロイドの重ね塗りを指導します。「1FTU」ワン・フィンガー・チップ・ユニットという目安がありま す。大人の手の人差し指の先から第一関節まで、口径5mmのチュー ブから軟膏剤やクリーム剤を出すとおよそ0.5gになります。ローション 剤の場合は1円玉の大きさで0.5gです。この量で大人の手のひら2 枚分の面積に塗ることができます。量が足りないと十分に効力が発揮できません。

ステロイド 外用剤を3日間塗って良くなったとしても急にやめると悪くなることがあります。3日塗って次の1日は保湿剤のみを使ってステロイド外 用剤は休む、これを3回繰り返します。この塗り方で症状が出な ければ、次は2日間ステロイド外用剤を塗って、1日は保湿剤のみ を使って休むパターンを3回繰り返します。それからステロイド 外用剤を1日おきに塗る(保湿剤は毎日)パターンを、2週間から4週間続けます。これは重症の方のパターンですがこのように少しづつ離脱していくのがポイントです。皮膚の下には炎症が残っているという考え方です。重症度に合わせてステロイドを使い分け、上記のように少しづつ離脱し、弱いステロイドに変えていきます。

TARCというたんぱく質で重症度が判定できることがあり、TARCの値が改善しなければステロイドを続けた方がいいという考えもあります。繰り返す場合など血液中のTARCの測定、アレルギー検査も必要となります。TARCはTh2活性のマーカーとなります。重症例ではTh2活性を押さえるアイピーディを処方します。かゆみ止めを出します。しかし内服よりまずスキンケア、ステロイドの外用をしっかりやることをすすめます。治療についてはお気軽に相談してください。

花粉と食物アレルギーは関連あり?

最近スイカを食べた後に、口の中がしびれるという症状の方がみられてます。これはOAS(口腔内アレルギー症候群)といって粘膜における接触じんましんと言われます。

そういう方に採血をしたり、問診既往歴をみると花粉アレルギーを有することがあります。

ウリ科(スイカ・メロン)で反応する方はブタクサ、ヨモギ、カモガヤにも反応あり バラ科(リンゴ、モモ)はシラカバ、ヨモギに反応がありました。

交差反応(タンパク質が似ているため体が反応してしまう)がおきているのです。

治療は除去することですが花粉の免疫療法をおこない果物が食べられた例もあるようです。

花粉症は結構外来でも頻回に見られます。果物を食べて症状のある方は注意が必要ですね。

花粉との関連があるとされる食物

ブナ・シラカンバ

リンゴ、モモ、サクランボ、洋ナシ、ナシ、スモモ、アンズ、イチゴ、ウメ、ビワ(以上バラ科果物)   ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ココナッツ、アーモンド、クルミ(クルミ科)、ニンジン、セロリ、ファンネル(セリ科)、ジャガイモ(ナス科)、キウイ(マタタビ科)

スギ・ヒノキ

トマト (頻度は少ない)

カモガヤ

ジャガイモ、トマト(ナス科)、メロン、スイカ(ウリ科)、ジャガイモ(ナス科)、オレンジ(ミカン科)

ブタクサ

メロン、スイカ、ズッキーニ、キュウリ(ウリ科)、バナナ(バショウ科)

ヨモギ

リンゴ(バラ科)、メロン(ウリ科)、セロリ、ファンネル(セリ科)