アレルギー

アトピー性皮膚炎の治療について

http://www.jaanet.org/pdf/atopi_tein.pdf

夏になるとアトピー性皮膚炎の増悪した児が見られます。基本的には汗を取り除く、シャワーや石けんをよく泡立 てて素手でしっかりともむように洗う、スキンケアが必要になります。

外来で気になるのが1.ステロイドの塗り方 2.その期間です。

アトピーの子の皮膚は細胞と細胞の間を埋めている脂である角質細胞間脂 質や 、 水 分 を と ら え て 放 さ な い 天然保湿因子が減少してい ます。これを補うため保湿剤を使いますが暑いときはあせもなど引き起こすこともあります。通常保湿剤とステロイドの重ね塗りを指導します。「1FTU」ワン・フィンガー・チップ・ユニットという目安がありま す。大人の手の人差し指の先から第一関節まで、口径5mmのチュー ブから軟膏剤やクリーム剤を出すとおよそ0.5gになります。ローション 剤の場合は1円玉の大きさで0.5gです。この量で大人の手のひら2 枚分の面積に塗ることができます。量が足りないと十分に効力が発揮できません。

ステロイド 外用剤を3日間塗って良くなったとしても急にやめると悪くなることがあります。3日塗って次の1日は保湿剤のみを使ってステロイド外 用剤は休む、これを3回繰り返します。この塗り方で症状が出な ければ、次は2日間ステロイド外用剤を塗って、1日は保湿剤のみ を使って休むパターンを3回繰り返します。それからステロイド 外用剤を1日おきに塗る(保湿剤は毎日)パターンを、2週間から4週間続けます。これは重症の方のパターンですがこのように少しづつ離脱していくのがポイントです。皮膚の下には炎症が残っているという考え方です。重症度に合わせてステロイドを使い分け、上記のように少しづつ離脱し、弱いステロイドに変えていきます。

TARCというたんぱく質で重症度が判定できることがあり、TARCの値が改善しなければステロイドを続けた方がいいという考えもあります。繰り返す場合など血液中のTARCの測定、アレルギー検査も必要となります。TARCはTh2活性のマーカーとなります。重症例ではTh2活性を押さえるアイピーディを処方します。かゆみ止めを出します。しかし内服よりまずスキンケア、ステロイドの外用をしっかりやることをすすめます。治療についてはお気軽に相談してください。

花粉と食物アレルギーは関連あり?

最近スイカを食べた後に、口の中がしびれるという症状の方がみられてます。これはOAS(口腔内アレルギー症候群)といって粘膜における接触じんましんと言われます。

そういう方に採血をしたり、問診既往歴をみると花粉アレルギーを有することがあります。

ウリ科(スイカ・メロン)で反応する方はブタクサ、ヨモギ、カモガヤにも反応あり バラ科(リンゴ、モモ)はシラカバ、ヨモギに反応がありました。

交差反応(タンパク質が似ているため体が反応してしまう)がおきているのです。

治療は除去することですが花粉の免疫療法をおこない果物が食べられた例もあるようです。

花粉症は結構外来でも頻回に見られます。果物を食べて症状のある方は注意が必要ですね。

花粉との関連があるとされる食物

ブナ・シラカンバ

リンゴ、モモ、サクランボ、洋ナシ、ナシ、スモモ、アンズ、イチゴ、ウメ、ビワ(以上バラ科果物)   ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ココナッツ、アーモンド、クルミ(クルミ科)、ニンジン、セロリ、ファンネル(セリ科)、ジャガイモ(ナス科)、キウイ(マタタビ科)

スギ・ヒノキ

トマト (頻度は少ない)

カモガヤ

ジャガイモ、トマト(ナス科)、メロン、スイカ(ウリ科)、ジャガイモ(ナス科)、オレンジ(ミカン科)

ブタクサ

メロン、スイカ、ズッキーニ、キュウリ(ウリ科)、バナナ(バショウ科)

ヨモギ

リンゴ(バラ科)、メロン(ウリ科)、セロリ、ファンネル(セリ科)

【自己注射薬「エピペン」】保険適用に

タイトルの通りエピペンが保険適応になりました。

9月22日に報告品目として収載する予定です。

http://www.yakuji.co.jp/entry24235.html

エピペンとは蜂の毒や食物により引き起こされるアナフィラキシーに対する緊急補助治療に使用します。

アナフィラキシーを起こす可能性の高い患者が自宅や学校に常備することで、アナフィラキシー発症の際に医療機関へ搬送されるまでの症状悪化を抑えることを期待されます。

今までは保険適応外でしたがもうすぐ保険適応になります。

アナフィラキシーは喘鳴など呼吸障害をおこしたり、またショックなど怖い症状をおこします。

過去アナフィラキシーを起こした患者、またその家族は強い不安を持ってます。エピペンが処方しやすくなったのは良いと思われます。

当院でも過去アナフィラキシーを起こした方には処方したいと思ってます。在庫が不安定になる恐れもあるので処方を希望される方は電話にて連絡してください。ただし初診の方は一度診察してからの処方となりますのでご了承ください。

 

第23回 日本アレルギー学会 春季臨床大会

H23.5.14-15 アレルギー学会の免疫療法のセクションでの発表を、埼玉医大アレセンの中込先生のシンポジウム等を交えながらご報告いたします。

テーマ:海外における免疫療法の実際 Profeser Stephen R Durham先生 Dr.Kaare Lund先生の報告の発表

ARIA 国際ガイドライン2008 免疫療法の病状早期での介入を推奨される J Allergy Clin Immunol 2001

4年間の皮下注射と7年間の皮下注射 効果の持続は同様であった/遮断抗体の確立/免疫療法のタブレットタイプ(ヨーロッパで行われている)ではアナフィラキシーの報告なし/病態を終息する効果があり、効果の持続もあり、お得な治療!/GT-08 ヨーロッパでの小児免疫療法(タブレットタイプ)のトライアルが現在進行中/早期の最初の治療と考えている WAO Journal Nov.2009.Allergy Dec.2009

埼玉医大アレセンの中込先生のシンポジウム スギ・ダニ アレルゲン免疫療法             

免疫療法を行うと効果が持続することが最大の特徴です。普通内服薬や、喘息の場合 吸入薬など内服している期間はよいが、内服を止めると効果もなくなります。しかし免疫療法の最大のメリットは効果の持続です。

4年やると7年の持続 5年で8年の持続 J Allergy Clin Immunol.2010.126.(5):969-75

目や鼻など他の症状にも有効/発症早期で介入すると、その後のアレルギー症状の抑制につながる J Allergy Clin Immunol.2006.118(5):1026-32

花粉症の方が気管支喘息を発症するリスクを抑える/免疫療法は上気道下気道両方の病態に有効 Ann Allergy Immunol.2009 102(1):69-75

是非やっていただきたいのはこんな方  発症から10年までの若い方、条件は呼吸機能が保たれていること。

副院長コメント 

勉強すればするほど、意義のあるいい治療だと感じます(手前みそで、すいません笑)。日本では盛んでないぶん、子供への免疫療法の介入も勉強しなくてはと感じるし、スギは効果的だったけど、カモガヤなどエキスのないものに苦しんでおられる方々のことや、いろいろな問題が山積しているなあと感じます。

血圧や、糖尿病みたいに、周知されている治療法で無い分、あまり活用されていないのが残念なところで、私も一から説明するのも面倒だと感じたりしたり、その割りに赤字治療ですしね(笑)。しかし、やはり意義のある治療法だと再確認し、普及に努めたいと思いました。

さらにヨーロッパや、アメリカでは軽症からの介入が実施されていたり、日本では皮下注射が主流で、舌下のトライアルが始まったばかり、3~5年後認可が降りるといわれている状況、かたや、アメリカ、ヨーロッパでは皮下注射→舌下→タブレット!!はあ~なんでかな?とか、思います。

日本の免疫療法のエース、我がボス永田先生にも、もっともっと頑張っていただき、アレルギー加療の分野でも日本も先進国なみの医療の提供をできたらいいのにと切に願います。

具体的なやり方

導入 :毎週1~2回の通院、注射後20分の待機。 おおよそ20回で維持量へ到達。

維持療法:4W~6W間隔(腫れ具合により異なる)の皮下注射、待機時間はなし。料金  1回 再診料+薬価

**パンフレットなどもありますので、お気軽にスタッフまでお尋ねください。

次回は、続アレルギー学会からの報告と題して じんましんについてや、妊娠と授乳と薬の報告をいたします。

理恵先生より

PS.ピッピもまたおしゃべりしたいって言ってたよ♪♪

        

 

せっけんで小麦アレルギー 経皮感作について

泡立ちを良くする成分に小麦由来成分(加水分解小麦末)をつかっている石鹸があります。それを長年使い、肌から感作して小麦アレルギーになる人がいます。

そのような方が小麦を摂取後に運動すると運動誘発性アナフィラキシーを引き起こすことがあります。

症状は発疹が出たり息苦しかったり様々です。昨年10月以降、計67人の報告があったようです。

いずれも軽症だが、ショック状態になり救急車で運ばれた例もあったようです。学会でも話題になってました。

食物アレルギーが肌から感作する。最近アレルギー学会で良く話題になってます。

赤ちゃんの時の湿疹を早く治すことで、皮膚からのアレルギー(経皮感作)を予防することが出来るかもしれません。

またアトピーの子は肌を治療することで食物アレルギー、喘息などの治療になるのです。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110520-OYT1T01084.htm

化粧品などの製造販売業者「悠香」(福岡県大野城市)は20日、同社の「茶のしずく石鹸(せっけん)」について、特殊な小麦アレルギーを引き起こすとの報告が相次いでいることから、自主回収すると発表した。厚生労働省によると、昨年10月以降、同社の石鹸の利用者の中に、小麦アレルギーの自覚がないにもかかわらず、小麦製品を食べた直後に運動するとアレルギー症状が出る「運動誘発性アレルギー」を発症する人が相次いだ。これを受けて、同社は昨年12月、小麦成分を含まない製品に切り替えるとともに、購入者にも通知したが、その後も報告例が続いていることから、小麦成分を含む製品について自主回収を決めたという。

食物アレルギーを食べて治す?

10月14日埼玉医大にて第25回学内アレルギーフォーラムが行われました。

テーマは食物アレルギーを食べて治す?でした。

米国においてもピーナッツアレルギーの経口免疫療法(食べて治す治療法)のトライアルが行われておりますが、日本でも牛乳、卵などで、経口免疫療法のアプローチが一部の施設で始まっております。今回の講師は神奈川県立こども医療センターの栗原和幸先生でした。

方法は、アレルギー専門医師の入院管理下のもとで、徐々に増量しながら食べていただくというやり方でした。結果、条件等はあるものの、全例とはいかずとも、成功例も多々報告されました。ずっとコンスタントに食べ続けなければならないなど、問題点もありますが、とても画期的な治療法であると考えられました。

開院して食物アレルギーの患児も何人かいらっしゃいます。勉強をしてみなさんに還元できればと思っております。

ダニ・スギの免疫療法

免疫療法とはWHOの見解によれば、アレルギー疾患の唯一の根治療法とされております。アメリカでは、盛んに行われている体質改善療法です。埼玉医大アレルギー喘息センターでの手技を当院にても行えるようにしました。
トピックスとしては、舌下療法がございますが、それは残念ながら日本で(治験以外)通常診療で行うにはあと3年位かかる見込みです。
免疫療法に興味のある方は、お気軽にご相談ください。